あらすじ

ポピュラー・ジャズ音楽理論講座

-あらすじ-

テーマが終わってイザ、アドリブを演奏しようとする時、その曲のコード進行、テンポ、リズムなどの流れの中で朗々と即興のメロディー・ラインを 歌い上げたいなどと思っている事も多々あります。朗々というのは、私の勝手な表現で、「悠々」でも「勇猛」でも「淡々」でも、演奏 しているプレイヤーの自由です。

ここでお話ししている「軸」というのは、映画や小説などでいえば、「あらすじ」のことです。即興演奏、インプロビゼーションについて のお話ですが、私はアレンジャーのハシクレの一人でもありますのである楽曲を編曲するときにどのようにするのかを例にとって話 したほうがお伝えしやすいと思いますので、そのようにいたします。実際は、「即興演奏」と「編曲」とは、似て非なるものですが。

・でっかいデッカイ「あらすじ」

私、編曲を始めるにあたってまずは、楽曲に親しむ事から始めています。人と人のつながりとおなじで相手の方のことをある程度 知ることが必要だと思います。まずは、その曲の印象とか構成などです。悲しい感じがするとか、哀愁に満ちているとか、あるいは、 歌詞の内容からくる印象とか、演奏しているバンドのエネルギー等々から、自分なりの理解や思いをある程度整理して、全体を 把握しようとします。イントロダクションは、必要か。必要ならば、どんな感じのイントロダクションにするか。同じくエンディングは・・ 。全体の構成は、イントロ->テーマ->アドリブ・ソロ・セクション->バンド・プレイ->テーマ->エンディング などなど・・。 一般的なジャズ即興演奏においては、このような作戦をじっくり考えている余裕はありませんが、何にもなしにいきなり-ゼロ-から スタートしているわけではありません。理想としては。-ゼロ-から始めたいのですが、現実的には100回に一回ぐらい自分自身で 満足のいく結果が得られることもあるのですが、-ゼロ・スタート-は、宝くじを当てるようなもののような気がしています。もさしく 永遠の-0-なんです。-ゼロ-を「無」ということばで置き換えても多分、問題ないと思いますが、この言葉を使うと何やら難しく 聞こえてしまうので-ゼロ-にします。またまた、横道にそれてしまいますが、即興演奏をするにあたっては、まずは、あるがままの 空気を濾過膜なしでそのまま受け入れるようにしたいと考えています。あるがままの空気というのは、ピアノ・プレイヤー、ベース・プ レイヤー、ドラム・プレイヤー、ホーン・プレイヤー、ブラス・プレイヤー、オーディアンス、そして、照明のあたり具合、ステージのにおい、 月の輝き具合、地球の自転…。むむ・・これって理想です。なにもかも自然体で受け入れたうえで、ただただ、フワッと孫悟空の ようにキントンに乗っかるだけです。ここでの孫悟空は、ドラゴンボールの孫悟空ではありません。「西遊記」の悟空ですのであしからず。 なにもかも受け入れるというよりは、すべてと一体になっておもむろに歩き出すというようなこと、理想です。さて、現実にもどると何かの 楽曲の即興演奏を始めるにあたっても、最低限のあらすじを持っておられた方が結果としてより良いものができるとは、思います。 最低限のあらすじとは次のようなものです。楽曲を2コーラス演奏するものとして考えてみますと、

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・1 コーラス 音を小さく

・2 コーラス 音を大きく

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・1 コーラス 長い音符

・2 コーラス 短い音符

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・1 コーラス 休符 多め

・2 コーラス 休符 少な目

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1コーラス目と2コーラス目、変化を作っています。大きなあらすじとはこのような事です。

ジャムセッションなどでご自身にソロを取る順番が回ってきました。でも、4コーラスも5コーラスも 演奏できません。多くの方がご自分の順番を待っておられます。でも、好きなだけコーラスを重ねること ができるとすると、それって反対に際限なく難しくなります。とりあえず実用的なところで2コーラスを目安 に練習されればいいと思います。

-ターゲット-(遠くほど近く)

「でっかいデッカイ・あらすじ」のお話をしましたが、もう少し細かいところでも 同じようなことがいえると思います。細かいところというのは、「フレーズ」です。 即興演奏についての「理想」はとりあえず横に置いておいて、実用的なところで お話させていただきます。

あなたは、初めての道を歩いているとします。目的の駄菓子屋さんに向かっているのですが 「三丁目の夕日」にでてくる昭和の町のように道が舗装されていません。しかもその道が今しがた 降った雨のせいでぬかるんでいます。視線を持ち上げてまわりの様子を見ながら駄菓子屋さん を探しているのですが、下手するとぬかるんだ道に足をとられて転びそうです。一歩踏み出す 前に足先の道の具合をチェックしないといけません。その上で安全であることを見定めて一歩 踏み出すことになると思います。これって同じです。完全に100%同じではないにしても、原則 はおなじです。目的箇所に向かって一歩踏み出す。やみくもに踏み出しているわけではありません。 それってスッテンコロリンのリスクを請け負うことになってしまいますから。即興演奏で何かの音を奏で るとき、まずは、とりあえず到達したい音が目と鼻の先にあるような気がします。上記の例では、最終目的地 は、駄菓子屋さん、さしあたっては、次の足置き場に一歩。とりあえずの到達地点が見えていると出発地点も そのうち視界に入ってくるような気がしますが、いかがでしょうか。