楽譜を使わないアドリブのための基礎練習-1

ポピュラー・ジャズ音楽理論講座

アドリブ(即興演奏)-1

アドリブといってもいろいろな音楽スタイルによって表に表れてくる形も多少違っていますが、ここでは「Jazz音楽」で 言うところの「アドリブ」「インプロビゼーション」「即興演奏」についてお話しています。

まずは、アドリブを演奏する上でどんなことが必要なのかを考えてみると前ページでお話した にプラスして、まず、最初に となるでしょうか。でも、まだちょっとコマイのでもう少しザックリ にしてしまいます。

※「気分」については後日にお話しするとしてまずは「実分」についてなのですが、みなさんもご存知のように 「気分と実分」は融合して化学反応をおこして別の物質になってこそ「アドリブ」なのだと思うのですが、あえて別々にしています。

●実分

さて、アドリブを演奏するにあたっての必要不可欠の「物理的技術」の一つは、「音を奏でることが出来る」ということでしょうか。 ピアノは指などで鍵盤を一定のスピード以上で押し込めば音を奏でることができます。ギターは、弦を弾くか爪弾けば空気中に音を放てます。ただし、 管楽器は音を奏でること自体に一定の技術が必要とされますので息を吹き込めば鳴るという風にはならないかも知れません。楽器を手じかにお持ちでない方 で声を発することができる方であれば、「お声」をお使いになればいいと思います。 さて、「音を奏でる」ことができれば、とりあえず、音空間に足を踏み入れることができます。「音を出す」これって動物の基本的な性向なのかもしれませんね。 さて、お一人で楽しむ場合などは、十分なのですが「他の人に伝える」となるとルールが必要になってくるのかも知れません。「一度だけ叫んだら、楽しい」、 「二回叫んだら、腹減った!!」など、「ジャズの歴史」を扱っておられる書物に出てくる「トーキング・ドラム」みたいな感じでしょうか。でも、またまた、 横道にそれてきているようなのでもとに戻します。

楽器・声を操れる一定の技術をもっておられるならば、これから先のお話は役に立つかもしれません。まず、アドリブを勉強するためにいくつかのだれにでも 手の届く素材の練習をしましょう。

●音階(scale)

はっきり言って、「スケール」という単語を見てこのページから跳ぼうと思っているでしょう。そうですよね。いろいろな音楽の先生の言う言葉 の三大御三家の一つですもの、「あぁ・・、またか!!」という感じでしょう。 みなさんもご存知かもしれませんが、「ドリアン」とか「リディアン」とか、「モード」などの言葉をお聞きになったことがあると思います。 結構ややこしくてこのあたりで「一抜けた」方も多いのではないでしょうか。 でも、とりあえず初心に戻って音階練習をしましょう。ただし、メジャー・スケールだけでいいのです。音階練習することは楽器との一体感 を作り出す手助けになります。ただし、階名「ドレミファ・・・」で一音一音を確認しながら、ゆっくりしたテンポ(自分自身が確認できるテンポ) で演奏します。「スタートレック」のお話にかこつけて説明してきたのに、いきなり「1999ムーンベースアルファ」が出てきてしまいますが、 この「アルファ」を ご覧になっていた方なら、遠い未知の宇宙空間に放り出されてから長い年月を経て、地球に帰還しようとする乗組員 の気持ちになってゆったりと「いつかは到達できるさ!!」ぐらいの気持ちで練習しましょう。(アルファをご存知ない方には、すみません。) つまり、10年かけてコツコツ音階をやっつけるつもりで いいのです。それぐらいにゆったりとした気持ちで挑むと気がついたら、数ヶ月で「ヤッタ!!」となります。マラソンを走るのに42.195km の苦難?の行程を考えてしまうと「ヤッパリ、やめとこ。」なんてなってしまいがちですが、「距離のことはさておいて、1mづづ、ゆっくり進もう」 なんて考えるとそのうちゴールしているかも。素材の基本練習は、退屈なことも多いのですが上手くなれる人はその辺が違うのかもしれません。 どこがどう違うかというと、たとえ退屈な練習でも「楽しんでしまえる」というところが。どうもこの「楽しむ」というあたりが大きなポイント をしめていると思えてなりません。「好きこそもの上手なれ」と言ったところでしょうか。

音階練習は、スーパーな練習の一つですので(スーパーマーケットのスーパーではありません。)「指の練習」ぐらいに思っておられる方は、 ひょっとしてもっと真剣に音階練習をされると今までととは違った何かを発見されることが出来るかもしれません。練習にあたっては、 音階の各音と主音との関係を感じながら練習される事が大事です。コードを学ぶという点からは、主音と三度、主音と五度、主音と七度 の各関係、つまり、「主音と三度は距離的には10cmぐらい離れていて、主音と五度は50cmぐらい離れているな。」とか、 「主音と三度の響きは「緑色」で主音と五度の響きは「茶色」ぽいな。」とか、「「ド」と「レ」、「レ」と「ミ」の離れ具合は「全音程」で、 「ミ」と「ファ」は「半音程」で「全音程」の1/2だ。」とかです。キーが変わっても、 つまり、主音の位置が変わってもこの関係は維持されますから、一つのメジャー・スケールの各音と音の関係を実際的に把握すれば、かなりのアドリブ に向けた素材の基礎練習の一つになると思います。そのような意味では、ゆっくりとしたテンポで練習するのが良いと思います。1setではなく、 「独立した一音一音」の音の連なりとして練習しましょう。音階は、「パラバラ・・・・・バラー」でワッンセットではなくて、各音がそれぞれ固有の 意味を持っています。主音をトニックといった名称がついているように、第2音は、スーパートニック、第三音は、メディアントなどの固有の名称がつ けられています。音階の各音がそれぞれ固有の顔と性格を持っています。

音階練習、ひいてはすべての練習と名のつく「反復動作」は、目的も大事ですがもうちょと大事だと思われることは「過程」だと思えてしまうのですが 、みなさんいかがでしょうか。つまり、「今現在の自分自身にとってより広く、大きく、深く成長することのできるような音階練習とは何か!!」という ようなことになるのかなぁ・・と。「さなぎ」であることの意味は「蝶」にある、などという諺はありませんが、実際、そんな感じです。だれもが奏でる 音階練習であっても「明日につながる音階練習」と「蝶に中々なれない音階練習」があるような・ないような。「反復練習」という言葉を書いてしまったので 付け加えておきますが、「反復」はすべての練習や修練、訓練などにおいて大いに必要不可欠のものなのですが、同時に広がりや良い意味での「その場しのぎ」 を排除してしまうこともありますので方法や適用を考慮することも大事かと思います。