ジャズ向き音楽理論-はじめに

ポピュラー・ジャズ音楽理論講座

-音楽理論-エンタープライズに乗って-

さて、広大な宇宙空間(こんどは本当の宇宙)を航行している「エンタープライズ」の乗組員になったことを想像してください。

筆者は、時としてトンでもない-トンチンカン-なことを平気で言うこともありますが、おおむね正しいことを言っています。 役に立つか、立たないかは貴方しだいです。また、隔週でページ更新してゆくつもりですが、おおかた「つもり」 で終わってしまうことの多い怠け者で、そのときはすみません。長く(約24年)、理論 関係やアレンジ、もちろん-Saxophone-も教えてきましたが、実際にクリエイティブな音楽を創造するときには、音楽理論が 目に見えて役立っていることが直接的にわかるということは、まあ、ありません。もっとベーシックな目に見えないところであなたの持っている個性 などのあなた自身も気付かない何かと融合して、超自然的に作用しています。素晴らしいプレイが生まれ出たとき やビューティフルな曲ができる過程で、広大な頭の宇宙のなかで何が起きているのかさっぱり分かりませんが、その「さっぱり分からない」 けど「何かが生まれ出てくる」という環境をと整えることは出来るかもしれません。私ごときが無謀なこころみですが、平にお許しを!!

さて、広大な宇宙空間(こんどは本当の宇宙)を航行している「エンタープライズ」の乗組員になったことを想像してください。カーク船長や副長スポック 、なぜか日本人の操舵士カトー、スコット機関主任、医療主任のドクター・マッコイ、ナビゲーターのチャコフ、通信士のウフーラ、 宇宙船の窓から見える宇宙にはたくさんの星が輝いています。(初代エンタープライズです。)音の世界もこれに似ているかもしれません。 四方八方に点在する星の光を「音」に置き換えてください・・・。いかに大きく、深く、広いかを。 音の宇宙空間に星のように散在する「音」から、いくつかの「音」を選んで並べたものが「音階」(スケール)と呼ばれているものです。そして、その音の 選び方によって、色々な味わいのものが生まれてきましたが次の譜面がそのうちの一つです。 ※「エンタープライズ」といわれて-?-の方は、「スタートレック」で検索するといいかも。本題とはあまり関係ありません。

Ex.1
メジャースケール

ご存知の音階ですよね。このスケールは、-C-のメジャー・スケール、アイオニアン・モード、ハ長調などと呼ばれたりする「音宇宙」の中の一つの並びです。 メジャー・スケールやアイオニアンなどの名称は、ともかく、このような並びをどなたかが発見されたのです。ずっとずっと昔に。

Ex.2
エオリアンモード

これは、また別の並び。-C-のナチュラルマイナー・スケール、、エオリアン・モード、ハ短調などと呼ばれる並びです。音の宇宙空間 から(いちいち大袈裟だといわれています。)Ex.2のような音の並びを選ぶと、また、別の響きがすることは、みなさんは当たり前のように 知っておられることと存知ます。

Ex.3
リディアンモード

これは、多分あまり聞きなれていない音の並びだと思いますが、リディアン・モードとかリディアンと呼ばれています。 -「リディアン・モード」などの旋法の邦訳はなんというのでしょうか、どなたかご存知の方、教えてください。 さてさて、音の選び方によって多種多様な並び(スケール)が出てくることに気づかれていると思います。そして、この並びの それぞれが固有の「味わい」を持っています。それぞれの音の並びの最初の音から続けて順番に演奏すると、わかりますよね。「楽しそうな感じ」とか 「悲しそうな感じ」などです。 ここで、次のことを説明しておかなければなりません。つまり、-Ex.1-の-C-メジャー・スケールにおいて、メジャー・スケール の味わいを表現するときに-C-音が出発音・終止音でなければなりません。-D-音を出発音にした反復は、-C-メジャー・スケール の味わいとは異なる感じを与えてくれます。(-D-ドリアンと呼ばれたりします。) つまり、

Ex.4
メジャースケール
Ex.5
Dドリアン

上記のEx.4、Ex.5は、選んだ音は、同じでも並べ方が違うので、異なった雰囲気を持っています。並べ方が違うというよりも 開始音が違うといってもいいですね。同じ音を並べても開始する音によってそのスケールのかもしだす気分は違ってきます。 この開始する音は、そのスケールの雰囲気を決める大きな要素の一つだとわかります。

再び「エンタープライズ」に登場してもらいます。太陽系の中心は、太陽でその周りを地球などの惑星が回っています。太陽の 引力によって今のところ安定して周回していますが、太陽が消えてしまうかなにかで引力がなくなったら、この太陽系は崩壊して しまうはずです。音の宇宙においても同じようなことがいえるかもしれません。つまり、その音の並びの最初の音(音階を演奏する上での 最初の音)は、太陽系の太陽と同じように重要な意味を持っていることは大事な基本要素の一つだと思います。この最初の音を「主音」、 トニックなどと呼んでいます。 スケール(音階,Scale)の意味は、その英語の意味そのままに「物差し、尺度、はかり、天秤」だということがわかります。 「音の物差し」です。単位が-センチ・メートル-、-インチ・マイル-、ポンド、キロ・グラム、尺、貫目、坪など色々あるように 音の物差しの単位らしきものも、色々あるでしょう。インドのラーガの音階は、西洋式にいうと「23音階」だと聞いたこともあります。

さて、世界中には、場所と時代に関わっていますが、色々な物差しがあって、私たちは生まれてはじめて音楽を勉強するときに、 まずは「ドレミファソラシド-ありき」では、わたしは、ちょっと物足りないかもしれないなと思っています。沢山の物差しの中の一つとして 考えるようにすれば、また、別の広がりを体感できるかもしれません。 で、「物差し」の-0-を「主音、トニック」と呼びます。(この「-0-の発見(インドの方)」が世界を変えたといっても過言では ありません。)むむむ・・、ちょっ待ってください。主音は、「1」ではなく「0」なのでしょうか。実は一般的にというか生まれた時から トニックは、(すみませんが「ディグリーネーム」という言葉を使うことを許していただくと)、トニックは 「一度」という風に呼ばれています。つまり、音楽の世界では、「0」は、ありません。でも、「10度」というディグリー(度数)は、出てきます。 このあたりは、考え出すと疲れてしまうかもしれないので、ほったらかしておきましょう。でも、度数で0.5度という事は、半音という事ですので、「0」 は、やっぱりその数学的な考え方とおなじで「無」なんでしょうか。しつこ・・・い! すみません、そして、いきなりで、しかも無理やりですが 「主音、トニック」がいかに重要な要素なのかわかっていただけたでしょうか。すでにみなさんはご存知でしょうが サブドミナント、ドミナントなどの概念というか雰囲気というか、物理的な周波数の問題というのか、(良くわかりませんが、音楽的には 「雰囲気」でいいと思うのですが、)というものも「トニック」に対して相対的な関係にあるので「トニック」が存在しない限り、 つかむことができないかもしれません。

-エネルギー保存の法則-

みなさんは、何でまた「いまさら、高校の物理なんだ!!」とお思いでしょう。まったく、その通りです。単なる私の気まぐれで「ふと」 思いついてしまったので・・・。で、やっぱり今回は、止めときます。では、また、来来週。ご精読ありがとうございました。