ポピュラー・ジャズ音楽理論講座
ポピュラー音楽をやっている人にとっては馴染み深いものなのですが、クラシック音楽を勉強されてきた 方にとっては、そんなに親しまれた言葉ではないかも。「コード」「Chord」「和音」など と呼ばれています。大雑把に言ってしまいますと、「いくつかの音が同時的に重なって鳴っている状態」を「何かの和音が 鳴っている」とか「C7 コードが鳴っている」などと言ったりします。
ここでちょっと横道にそれてしまうのですが、みなさんは、「倍音」とか「倍音列」という言葉をご存知でしょうか。 多分、あまり耳にしない言葉だと思いますが、音楽の基本的な要素の一つですので、知っておられるといいかも。 どういうことかといいますと、ピアノでどの鍵盤でもいいですので、ポンと叩いてみると音が出ます。で、「そんな事当たり前やん」 と思われることでしょう。まったく、その通りで当たり前なんです。もう一度、こんどはピアノにもっと近づいて、ちょっと低めの 音、つまり、ピアノに向かって左側の鍵盤を弾いてみてください、ただし、音がでても指を鍵盤から離さないで押しっぱなしに してください。すると音が鳴りっぱなしになります。で、これもまた、「そんな事当たり前やん」と思われたでしょう。まったく、 その通りで当たり前、「あたり前田のクラッカー!!」(-てなもんや三度傘-を知っておられる方だけにお分かりいただける ギャグの古典です。つまり、古・・・い)。そして、その鳴りっぱなしになっている音を、こんどは、もっともっと耳を澄まして 聞いてみてください。身体中を耳にして聞いてみてください。なんだか、もともとの音よりも、もっと高い音が鳴っているのが 聞こえてきませんか。もう一度、さきほど弾いた音とは違う別の鍵盤を叩いてみましょう。やっぱり、鳴らしっぱなしにし てください。そして、耳を澄まして集中して聞きましょう。今度は、先ほど聞こえてきた音とは別の音が聞こえている かもしれません。ピアノのサステイン・ペダルを踏みっぱなしにしてやってみると、もっとよく聞こえると思います。そして、もっと 低い音で同じようにやってみるともっとよく聞こえるかもしれません。
ピアノやギター、ハープ、ベース、バイオリン、チェロ、シタールなどは、「弦」を弾いたり、叩くことによって音を奏でて います。物理的な詳しいことはあまり分からないのですが、このような弦の振動をともなう楽器は、もとの音と異なる音程の複数の 音を生み出し、また、それぞれの音の成分の比率などによって固有の音色や響を持っています。一つの音が鳴ると、下の楽譜のように、 こんな感じで他の音が鳴っています。
一番下の-C-音が鳴ると、その一オクターブ上の-C-音、そして、一オクターブと完全五度上の-G-音・・・などと規則的に響きます。 これらの音を「倍音」と呼んでいます。そして、元の音、上の例の場合は一番低い音程の-C-を「基音」と呼んでいます。そして、これらの 音の並びを「倍音列」と呼んでいるのです。私たちが良く知っている「ドレミファソラシド」という音階は、「いったいどこからやっ てきたのかな」などと考えてみるのも、暇つぶしにはなるかも。ありとあらゆる音がありとあらゆる場所にあって、飛び交っている のですから、いったい「音階」ってどんな風にしてできたのかなぁ・・・。実は、「倍音」が原点にあるようです。このあたりの事を すごく分かりやすく説明してくれている本があります。もっと詳しく知りたい方は、「音律と音階の科学」(小方 厚 著 ブルーバックス) をお勧めします。また、もっと興味の在る方は、もうすでに廃刊になっているかもしれませんが「世界は音」という著作も面白くお読みに なれるかもしれません。確か「ヨハヒム・ベーレント」という人が書いておられたように思います。
で、またまた、横道にそれたままになってしまいました。すみません。