ポピュラー・ジャズ音楽理論講座
「9thを入れるとカッコよくなるよ。」などと先輩や先生に言われて、私は「9th(ナインス)」 ってナ・ン・ジャ・イ・ナ・などと思ったことがあります。「テンション」の英語の綴りは「Tension」ですので直訳すと 「緊張」などということになるでしょうか。この「9th」「#11th」「b9th」などのテンション と呼ばれる音を解読させていただく前に「音程」のお話をした方がいいのではないかと思って しまいましたので、またまた、横道にそれることになりそうです。
英語で「インターバル(Interval)」といいますが、生徒さんには音と音の「離れ具合・近づきき具合」を表す 尺度という風に教えさせていただいています。長さの尺度としては、センチ、インチ、尺、などがあって「30cm」 といえば、ほとんどの方がおおよその長さを思い浮かべることができると思います。これと同じように音と音の距離 を表す尺度の一つとして「min3rd(長三度)」や「perfect4th(完全四度)」などの呼び方があります。一般に音程の最小 のものは「半音」ですがらこれを基準にして、例えば「半音×2」は「長二度(Major2nd)」、「半音×3」は「短三度(minor3rd)」 などと呼ばれています。
9th(ナインス)というのはどの音かというと、「そのコードのルート音から各当する音階を順番に上がっていって9番目の音」の 事です。
例えば「Cmaj7」ならば、ルートは「C音」で、「Eb7」ならば「Eb音」のことです。ルート(Root)は「根音」と 訳されています。
それぞれのコードのディグリーに対応して各当する音階(コード・スケール)があるのですが、次のようにキャッチしたほうが より簡単でいいかもしれません。「9thは、ルートの全音上の音」「b9thは、ルートの半音上の音」「#9thは、ルートの短三度上の音」 。これで間違なくすべての「9th」を見つけることができます。
「Cmaj7」のルートは「C音」で、9thはルートの全音上の「D音」ですから「C音」「D音」は全音程でブツカッテいます。 さらに「Cmaj7」の「3rd」の「E音」とも全音程でブツカッテいます。そこで実際にバンドで演奏している場合で考えてみると ベース・プレイヤーは、まずはルートを演奏しますので、9thとは必ず「Major2nd」の不協和音程を作ります。また、コード の「3rd」の音は大概鳴っていますから「9th」はコード・トーンの3rdとも「Major2nd」の音程を作ることになります。 このように考えてくると「テンション」というのは、コード・トーンと不協和音程を作ることに意味があるような感じがし てきます。でも、べース・プレイヤーが奏でる「ルート音」と、例えばフルート・プレイヤーが演奏する「9th」は、少なくとも 2オクターブは離れているのに、それでも「ブツカッテ」いるということなのでしょうか。・・・はい、そうなんです。この辺りは、 再び「スタートレック」のようにSF的に面白いところだと思うのですがみなさんは、いかがでしょうか。「ド」から「レミファ」と いう風に音階を上がってゆくと「ド」からどんどん離れていっているようで、しかし、再び「ソラシ・・ド」という風にド音に 近づいています。このような説明の方法は、「スタートレック」のようにダイナミックではありませんが、面白いことだと思いませんか。 どんどん離れっていっているようで、近づいていています。このような言い方の根拠は、「C」音は、「何処まで行っても「C」音の性格 をキープしているもの」であるというとこにあります。しかしながら、このような見方は、物理現象としての音の捉え方に比重をおいて しまいすぎているのでしょうか。というような事にとらわれてしまうとまったくまとまりがつかなくなりますので、ここでは C音は、1オクターブ離れようが、23オクターブ離れようが「C音」なんだということにしてください。音楽理論は物理現象と人間の感性の 最大公約数的・最小公倍数的な融合物だと思いますが、その割合などは、ここでは知ったことではありません。で、この音程、特に不協和 音程というのがボイシングや音の響き、緊張感の度合いなどにとっての大きな要素の一つみたいなのです。
簡単に言ってしまうと、一オクターブを超える音の隔たりを表す尺度として、「複音程 = オクターブ+単音程」としています。 例えば、
などとなります。
管楽器使ったアレンジやピアノなどの連続的な流れの中で和声を実際に奏でないといけない時に、「コード・ネーム」が非常に 役立つことになります。ある意味でコード・ネームそのものは一元的なもので、こんなことを言うと叱られるかもしれませんが コード・ネームとは、とりあえず「生の素材」的なもと言えるかもしれません。料理そのものはこの素材を使ってこれから始まる わけです。そして料理するにあたって「音程」という言葉の重みがじわじわ感じられるようになります。
続く・・・・。
で、またまた、横道にそれてしまいそうです。すみません。次回。