Saxophone お役立

ジャズサックス 吹きの散歩道

●アンブシャーが緩すぎる

私の場合で恐縮ですが皆さんにも役立つかもしれませんので書いておきます。良ければ参考にしてください。 ここ二年ぐらい事なのですがテナー・サックスの低音のコンサートEb音~Bb音ぐらいの音を演奏しなければ ならない場合に今までにない違和感を感じるようになっていました。いましたと書いていますのは現在におい ては大丈夫で、その違和感は解消されているからです。年々アンブシャーのプレスをできるだけ小さくする 方向でトレーニングし続けてきていますが、それでもって50年続けているわけでここ二年ほどの間にこれ 以上弱くしたらリードの振動を上手くコントロールできないところに来てしまっていたようです。先ほど50年 サックスを吹き続けてきたと書きましたが、アンブシャーをより積極的に自分の思う方向に持ってゆこうとし だしてからは、多分、15年ぐらいだと思います。つまり、緩くする方向に積極的にトライしだしてからは15年 ほどです。

演奏する上で何かおかしいと感じだしたのが二年前ぐらいです。普通に演奏していてコンサート-E音-、-Eb-音 が裏返ってしまうどころか、詰まりかけた下水管みたいなグルル・・・音になってしまう事が度々でてきました。静かに サブトーンで優しく演奏するのが難しい状態です。最初の内は定期的にやってくる「楽器の調整不足」だと思い、 調整してもらえば大丈夫だと安易に考えていましたが、専門店で調整していただいても直りません。それでもって、 演奏するのに余分な気の使い方をしなければならないのですが、何とか経験でカバーしながら演奏し続けていま した。が、結局、気遣いの限界を超えてしまいました。今までのアンブシャーのコントロールの仕方では上手く対応 出来なくなってしまいました。上手く対応できないというのは、特に譜面を読んで演奏しなければならないお仕事において 各当する音域が楽譜上に書かれていた場合などです。しかしながら、なぜか、各当する音域を演奏しているにもかかわらず 即興演奏をしている分にはほとんど不都合はでてきません。こいうのっていいも悪いも不都合を自動処理してしまっている のでしょうか。考えようによっては恐ろしいです。私のアンブシャー作りの目標は、「効率よく、楽に、音色・音量をコントロール」 出来る事ですが、ザックリな言い方で言わせていただくと、結果としてマウスピースの口の中への挿入量がより少なく、 下顎・下唇のプレッシャーもより少なくする方向で進んできました。。その結果、前にも書かせていただいたのですが 「なんちゃってダブルリップ」になってきています。「なんちゃって」というのは、ダブルリップを研究していたわけではなく、気づいたら 勝手になっていたので「なんちゃってダブルリップ」と言っています。

楽器を再調整したり、リードの種類・硬さ・柔らかさを変えたり、マウスピースやリガチャーを変えても、また、友人に自分の 普段使っている楽器を演奏してもらって問題の現象が起こるかどうかをチェックしてもらったりもしました。で、結論としてこれは間違い なく「アンブシャー」そのものに関わっているのだと確信した次第です。みなさんもご存知の事と思いますが長年の無意識で の慣習をほんの僅かに修正することほど難しいことはありません。わたしの友人の一人に長年ダブルリップを自分の演奏 スタイルの一つにされている方に相談すると「なったらなったで、ホッタラかし」との解決策を提示されましたが、吉本流に 「それは、答えになっていないではアーリマセンカ!!」(ご冥福をお祈りします)と返答した次第です。

冗談はさておき、物理的に考えてリードを最低限安定した状態で振動を持続するためには、同じく最低限のプレッシャー が必要だという事が分かりました。「あたり前田のクラッカー」と言えばその通りです。やっぱり上限が有れば下限があるのですね。 下顎ではなく下唇のプレッシャーをほんの気分だけあげると不都合がなくなりました。

もう一つ言えることは年齢の積み重ねとともに口の周りの筋肉や口の中の様子が自分で思っている以上に変化してきていると いう事です。ただ、一つ付け加えておくと、その変化、悪い事だけではありませんよ。そしてここまで堪えて読んでいただいた方に はもう一つだけもっと力の抜ける解決策をお一つ付け加えます。リードを少しだけマウスピースの先端側にずらしてみて下さい。 もう少しだけというのも分かりにくいですが、0.5mmぐらいでしょうか。・・・・直ります。


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