ジャズサックス問題点の私的対処方
〇アカデニズムと直感
たかが直観、されど直感。あるいは、たかがアカデミズム、されどアカデミニズム。
とあるジャムセッションの現場をご想像ください。ステージ上で演奏が続けられています。参加しているプレイヤーの演奏を聞い ていると、目に見えないのですがステージ狭しとそこら中に火花が飛び散っているようです。そして、このメンバーのセットの 演奏が終わりました。次はあなたがステージに上がって火花を散らす番です。さてステージに上がる前にこのセットのメンバー による曲決めをしなければなりません。それと同時にテンポやキーなどもお互いに相談して決定します。 お話がいきなり飛んでしまいますが五木寛之さんの小説「青年は荒野をめざす」をご存知でしょうか。 主人公はジャズを志す若者で、トランペット一本で武者修行の旅にでかけます。 「世界を・・・」などの言葉にダイナミックなロマンを感じました。世界を股に掛けたジャムセッション旅行です。不確かなのですが まずは、ウラジオストックからシベリア鉄道でモスクワに向かったのではないかと思います。50年近く前の小説ですがジャズを好きな 人にとっては楽しい暇つぶしになるかもしれません。
すみません。お話を元にもどします。さて、次はあなたが参加する番です。どうのこうのしているうちに演奏する曲が決まりました。 ところが困ったことにあなたが今まで演奏したことのない曲に決まってしまいました。聞いたことはあるけど演奏したことがない。 コード進行もテーマのメロディーもボヤっとしています。さてこのような場合あなたならどのようにしますか。 今回は演奏に参加せずに聞くだけにする方、あるいはハッキリ分かっているわけではないけどリズム・セクションを聞きながら分かる 範囲で何とか演奏しようとする方、そして、とにかくやってみるという当たって砕けろタイプの方。ここでの主題は上記の三っつ 私の勝手な状況設定でもって、真ん中を選択される方と最後のタイプの方について参考になると思います。
ジャムセッションで題材として演奏される曲は、おそらくジャズを演奏してこられた方なら知っているだろうと思われる曲が多いです。 ということは、いわゆる「スタンダード・チューン」と呼ばれているものですね。したがって曲のテンポについては千差万別 ですがコード進行は似たり寄ったりというものがほとんどです。数十曲程度スタンダードと呼ばれる楽曲を練習されてきていれば、 楽曲のキーはさておいて、同じようなコード進行をそれぞれ楽曲のなかに発見されるはずです。実際のジャムセッションの現場では 手探りではありますが、リズム・セクションや他の方のアドリブ・ソロを数コーラス聞いているうちにコードの繋がりが見えてくるか もしれません。ハッキリ分かったところ、ハッキリではないがある程度分かったところ、まったく分からないところなどと分ける事が できるなら、分からないところは演奏しなくても、全体としてはあなたのアドリブ演奏として成り立ってくると思います。 このようにリズムセクションの演奏を聞ききつつ探りながら演奏することはあなたの音楽的な成長に大いに役立ちます。一緒に演奏し ているプレイヤーの言っていることを分かろうとする努力があなたの演奏をより良くしてくれます。なにせバンドで演奏しているのです から。
では、楽曲についてはなにも分からないがアドリブを演奏するには何を支えにして演奏すればいいのでしょうか。・・「直感」です。 これは計算できない直通回路です。続く・・・。